金重素山先生の信楽酒呑が入荷しました

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皆さんこんにちは、如何お過ごしでしょうか。

こちら岡山県備前地方ではやっと台風が通過しつつあります。

依然として強い勢力を保っておりますので周辺地域の方はくれぐれもお気を付け下さい。


さて、本日は備前焼が誇る茶陶の巨匠金重素山先生の、

珍しい信楽焼の酒呑が入荷しましたのでご紹介させて頂きたいと思います。

ご長男の金重 まこと先生曰く、本作は素山先生が生前に交友のあった、

信楽焼の重鎮である五代上田直方先生の紹介で得た土を焼成されたものだそうです。

素山先生が60歳頃に円山の登窯にて焼成されたもので、

窯内で備前土には適さない非常に高温になる場所に設置されたそうです。

 

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耐火度の高い信楽土だからこそ可能なこってりとした焦げが魅力です。

 

平均的な備前焼に使用されている田土の焼成温度が1200度前後ですので、

それよりももっと高い温度帯の場所で焼かれたのでしょうとのことです。

信楽焼らしい高温焼成より発生する濃厚な窯変が魅力となっており、

作品全体にまるで墨を吹き付けたかのような黒い焦げが出ています。

その中に信楽土の特徴である長石の粒や、 備前焼と同じ黄胡麻等が混じっています。

高温焼成らしい艶のある光沢を帯びており、乾いていてもまるで濡れているかのようです。

 

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カルデラのような力強い土の隆起が見事です。

 

そしてやはり特筆すべきは備前焼を始めとする茶陶の名人として、

その名を轟かせた素山先生だからこそ出来る極上の高台削りでしょう。

胴の作行自体が信楽土の魅力を引き出すように、とても厚手でどっしりとした造りとなっており、

その胴の重厚さを足元に据えて、抉り込むように力強い高台削りで全体をまとめ上げています。

童仙房と呼ばれる耐火土の団子を四つ設置して正位置で焼き上げられており、

これにより丁度施釉等の土見せの如く高台内の土の力強い表情が見られるようにしています。


ざっくりとした土質が素山先生が得意とするゆっくりとした力強い箆入れにより、

土の中の長石粒が立ち上がりながら土が削り落とされて、

まるで溶岩が隆起して生まれたカルデラのような表情の高台になっています。

愚直なまでにシンプルな胴の造りが、高台の爆発するような立ち上がりへと収束していく様は、

さながら良質の映画が素晴らしい導入部分から始まり、

物語を徐々に紬ぎながら結末へと向けてヒートアップしていくかのようです。


これは素山先生が作陶においての土作り、轆轤仕事、高台削りを別々の三つの仕事とせず、

一本の道のように最初から最後まで繋がった一つの仕事として取り組んでいたからでしょう。

土の特性や秘めたる力を知りつつ、それを生かすように土を作り、

作品全体が一つに調和することを目指して徹頭徹尾己の仕事を全うしています。

便利さが時に何もかもを置き去りにして進んでいく現代社会において、

これほどまでに心のこもった気持の良い仕事っぷりは流石巨匠と呼ばれた素山先生らしいです。

「自分に出来ることを、精一杯全うしなさい」と教えられているようです。

 

(金重素山/信楽酒呑 まこと識箱) 

size:径6.7cm×径6.6cm×高さ5.5cm price: 売約済


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