金重陶陽の作品など人間国宝の名品を一堂に展示しています。



 

 

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金重陶陽  備前酒呑  共箱

 


備前焼復興にその生涯を賭けて仕事に打ち込んだ陶陽先生らしい心地良い緊張感に満ちた作品です。
「陶陽先生の細工物は普段見えないような隅々まで丁寧に仕事をしている」
これは以前、島村光先生にお話を伺った際に非常に心に残った言葉です。
この酒呑を手にとって眺めていると、ふとその言葉が脳裏をよぎりました。

引き締まった高台を見てみれば、丁寧な削りは一回転で終わることなく、
光を反射させる事でうっすらとさらに細かい箆目が浮かび上がります。
神経を尖らせ額に汗しながら、高台の角という非常に細かいところに箆を当てて、
少しでも頭脳の中の理想を具現化しようと四苦八苦したのでしょうか。

口縁をみても縁の厚みは微妙に変化しており、まるでさざ波のような緩急がついています。
見せびらかすようにうねらせるのではなく、まるで今にも隠してしまいたいかのようにすら感じます。
しかしほんの些細なうねりが造形に想像以上の膨らみを持たせ、
作品に相対し口縁より内側を覗き込めば何とも見応えがして飽きさせません。

ここで再び島村光先生のお言葉を一つ書き記しておきます。
「細工物は別名箆仕事って言うんだよ。こうやって箆一つでどんな形でも作っていくからね。」
この作品こそまさに無数の箆仕事と指先のマジックで彩られた、
酒呑の形をした「細工物」なのかも知れません。

 

 

径6.4cm×6.3cm×高さ6.4cm

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