ご挨拶
この度、金重有邦先生の新しい窯による新作をご紹介させて頂くことになりました。
伊部牛神下と言えば誰もが知る金重素山先生が築窯した窯でございますが、今回はその窯を完全に崩した上で、改めて土だけの穴窯を築窯されています。陶芸家にとっては自身の手足とでも言うべき窯を一旦破棄するという行為に、単純に窯を作り変える事以上の意味があるように感じております。金重の名や金重有邦先生ご自身がこれまで積み重ねてきた仕事に寄りかかること無く、徒手空拳の境地で新たな挑戦を始めることに、僭越ながら尊敬の念を禁じ得ません。
現代備前においてはベテランや巨匠とも呼ばれる立場でありながら、自身の夢に向かって貪欲に突き進む様はまるで少年のようであります。
伊部牛神下と言えば誰もが知る金重素山先生が築窯した窯でございますが、今回はその窯を完全に崩した上で、改めて土だけの穴窯を築窯されています。陶芸家にとっては自身の手足とでも言うべき窯を一旦破棄するという行為に、単純に窯を作り変える事以上の意味があるように感じております。金重の名や金重有邦先生ご自身がこれまで積み重ねてきた仕事に寄りかかること無く、徒手空拳の境地で新たな挑戦を始めることに、僭越ながら尊敬の念を禁じ得ません。
現代備前においてはベテランや巨匠とも呼ばれる立場でありながら、自身の夢に向かって貪欲に突き進む様はまるで少年のようであります。
今回ご紹介させて頂く新作はどれも新しい窯による作品ばかりです。
新しい窯は「つちがま」の名の通り、耐火煉瓦を使用しない純粋な土だけの穴窯です。
その特異な穴窯を、登り窯を極めたと言っても過言ではない金重有邦先生が焼成する事で、まるで登り窯と穴窯の中間のような、非常に土の表情豊かな作品に仕上がりました。
柔らかで初な肌合いでありながら、しっかりと焼き締まった緋色の肌は古備前のようでもあり、愛陶家の侘び心を擽る登り窯の窯変をも併せ持った個性的な作品となっております。
金重有邦先生曰く、「一見すると地味で甘焼けのようにも見えるでしょうが、この肌合いは焼き物をたくさん見てきた人にこそきっと喜んでもらえるだろう」と仰られていました。
今回の作品で有邦先生がコーヒーやお茶や水を飲む為に、暫く使用した酒呑を見せて頂きましたが、土の粒がキラキラと輝いているようでいて、光沢自体は無くマットな肌合いであり、正しく古備前に見られる土の高密度な焼き締まりを想起させる見事な肌へと育っていました。
今回の新作は土が生きているからこそ、お手元にて更に成長し続けるのだと確信しております。
つちがま自体が作品と同じ土で出来た謂わば巨大な母体であり、作品とは命の炎を燃やしてそこから生まれる子であるのだと教えられました。
金重有邦先生の土の命に触れるような作品群を是非ご覧下さいませ。
川口陶楽苑
作品一覧
作品の販売について
12月3日(月)20時より販売開始いたします。