金重晃介 作 扁壺徳利

皆さんこんにちわ。
安田先生のOnline個展も無事開催出来、ほっと一安心です。
見て下さった方、買って下さった方、本当にありがとうございます。
とても誠実な志を持った作家さんで、作品にもそのキモチが表れているように思います。
いずれまた新作をご紹介できれば、と思っております。

さて、本日の入荷速報は金重晃介先生の窯出しがございましたので、
その中の一つ「扁壺徳利」をご紹介したいと思っております。

固定ファンも非常に多い金重一門の作品ですが、その中でも最も人気なのがやはり「窯変」の作品です。
抜けは甘い焼き上がりの緋色、周りはカリカリに焼き上がった黒銀の灰被り
という相反する要素を求められる焼成です。
土味に重点を置く金重一門にはやはり上記二つの条件をクリアした、
最高峰の窯変がお客様に求められているように思います。

この作品はそんな非常に難しい条件をクリアした作品のひとつだと思います。
特に難しい「抜けの甘い緋色」が本当によく出来ております。
カリカリ、真っ黒に焼くだけでは到底到達できない土味ですね。
柔らかで敏感で壊れやすい、そんな難しい土だからこそ表現できる緋色だと思います。

造形に関しては勿論晃介先生らしく、シャープでキレのある仕上がりとなっております。
実は参考までに陶陽先生の扁壺徳利を掲載してみました。
皆さんはご覧になられてどの様に思われますでしょうか?
線紋など同じ扁壺徳利なのに、まったく印象が異なりませんか?
僕には陶陽先生の作品は優しさ、優雅さが感じられます。
反対に晃介先生の作品には力強さ、華麗さが感じられます。
同じ扁壺徳利でもこれだけの印象の変化がある事に本当にびっくりしました。

父から子へ、と受け継がれていく歴史と技の中で、自己を確立させる。
これは非常に難しい事だと僕は思います。
特に金重一門という激流にも似た巨大な流れの中で、です。
僕はこの徳利に晃介先生の「金重」を背負う事の覚悟を見たような気がします。

[ 金重晃介 作 扁壺徳利 ]NEW2007/12/13 16:23