本日の更新はその生涯を細工物一筋に生き、激動の時代を駆け抜けた備前が誇る名工、
金井春山先生の最晩年の備前飛獅子香炉です。
春山先生は明治に生まれ、大正には師である西村春湖先生の下で修業に励み、
その後独立された昭和期には見事な細工物を数多く作り上げつつ、
昭和末期には備前陶芸センターなどで後進の指導にも当たられていました。
昭和57年、備前の復興と隆盛を見届けた後に惜しくもこの世を去られますが、
最晩年作の本作は激動の時代を生きた名人らしい技の冴えが見られます。
獅子の細工物は備前でも布袋と並び細工物の最初期から手掛けられてきたものであり、
平成の今の世でもトップクラスの人気を誇るモチーフではありますが、
それ故に過去の優品と並び立つだけの力量を求められる試金石のような存在でもあります。
本作では桃山後期より連綿と続いてきた備前細工物の長い歴史の中でも、
埋没すること無く見事その存在感を発揮する見事な作り込みで魅せてくれる逸品です。
空想上の動物である獅子はリアリティーを追求しすぎれば脳が違和感を呼び起こし、
さりとてデフォルメが過ぎれば獅子本来の力強く雄々しいという魅力を損なうものです。
本作は絶妙なバランスを保っており、力強い飛獅子を躍動感満ち溢れる姿で表現しています。
精悍な顔つきも見事ですが、舌や牙などの細かい仕事ぶりがまた名人らしいです。
更に蓋と獅子との接合面、透かし彫りの内側、蓋の裏、獅子のお腹側など、
普段見られない部分でも、一切妥協せず極細の箆で細かく細かく削って仕上げています。
この実に細やかな仕事ぶりこそが、名人が最後に遺したかったものではないでしょうか。
(金井春山/備前飛獅子香炉 共箱)
獅子size:径9.5cm×径5.6cm×蓋径10.0cm×蓋高さ13.3cm price: 売約済
本体size:耳含む径19.3cm×径13.8cm×蓋本体合わせた高さ20.5cm
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