皆さんこんにちは、如何お過ごしでしょうか。
本日は金重晃介先生の極上の酒器が入荷しました。
1990年頃に制作されたもので、金重一門らしい上品な緋色が出ています。
黒の冴えた灰被り窯変も素晴らしく、酒で全体が濡れたその姿はなんとも言えません。
登り窯における備前焼成の第一人者であった金重陶陽先生から始まり、
登り窯独自の焼き上がりとしてこの黒窯変と緋色は酒器好きに愛されています。
何故そうまでもこの窯変は珍重され、人々の心を惹きつけて止まないのでしょうか。
これはいつも思うことですが、黒と赤こそ最も日本人に愛されている色ではないかと思います。
一般的には男性を表すカラーである黒、そして女性を表すカラーとして赤が使われています。
最近は色々なカラーが有りますが、私が小学生の時にはランドセルは黒と赤の二種類でした。
伝統工芸で言えば木製の器に漆を塗った漆器も、基本的に黒と赤二色のイメージがありますし、
楽茶碗も代表的なイメージでは黒楽と赤楽の二色がメインのように思います。
日本人の心に根ざした黒と赤のイメージが、この登り窯の灰被り窯変にも感じられるからこそ、
備前焼の中でも最上級の焼き上がりとして広く認知されているのではないでしょうか。
また、この登り窯の灰被り窯変を求められている愛陶家の方は必ずこう言われます。
「灰被りはより黒く、土味はより赤く」
実はこれは相反する言葉であり、制作する観点から言えば非常に難しい注文となります。
灰被りの黒をより冴えたものとするならば、より窯の中で作品を高温に近づけねばなりません。
しかし、そうすると緋色の部分の土味はどんどん堅く焼き締り、赤が薄くなります。
その逆もまた然りで、赤を取ろうとすれば甘焼きとなり、黒の冴えは失われてしまいます。
本能に訴えかけてくる最高の組み合わせである黒と赤、
しかし、実際は備前焼では両立は極めて困難となりごく限られた作品にしか宿らない。
そう考えていくと愛陶家の方々が虜になるのも頷けますね。
かくいう私も極上の灰被り窯変に虜にされた一人ですが。
冴えた黒に蕩けるような緋色、極めて両立が難しいです。
横の丸抜けの色が微妙に違っており、これだけでも微妙なバランスで変化することが分かります。
濡れると黒がしっとりとして一段深い色合いになります。
これだけの見事な焼き上がりは珍しく、桐箱の中でも高級な組箱に入っています。
緋色が濃い目で使い味がなんとも良さそうです。
高台も黒黒とした見事な窯変になっています。
(金重晃介/備前酒器各種 共箱)
備前徳利 size:径8.8cm×径8.5cm×高さ12.7cm price:売約済
備前酒呑 size:径6.1cm×径6.1cm×高さ6.2cm price:売約済
※徳利・酒呑共に1990年頃の作品ですが、最新の陶歴書が付属しています。
また、酒呑は使用感はほとんど感じられませんが、徳利は微かにお酒の甘い匂いがします。
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