皆さんこんにちは、如何お過ごしでしょうか。
全国的にシルバーウィークは晴れが多く過ごしやすかったのではないでしょうか。
当店にも遠方よりたくさんのお客様にご来店して頂き、本当に嬉しく思います。
さて、現在岡山県立博物館にて開催中の破格―桃山備前―展にお邪魔してきました。
どれもこれもが超一級品ばかりで、さながら夢のオールスター戦のような展覧会でした。
どれもこれもが存在感が濃密であり、恐らくは数度足を運ばねばならんだろうと思っていましたが、
まさしく予感的中で頭が真っ白になるほどの衝撃でした。
そんな中で曽我 尭先生より聞いた言葉を思い出して、
ある程度全体は見るけど「一品を集中してみる」という見方をしてきました。
まず自分が最も印象に残ったのは会場奥の半月鉢です。
円を一部欠いたような意匠に糸胡麻と黄胡麻がたっぷりと掛かり、
備前鉢の見所でもある牡丹餅も見事なものでした。
しかし、最も気になったのがその変形度合い(≠歪み)です。
半月鉢といえばお盆のようにある程度平らかなものを想像されると思います。
この作品ではなんと中央部分が上へとせり出し山なりに変形していました。
丁度裏面には円筒形のくっつき跡が残っており、円筒形の何かに乗せて焼かれ、
焼成時に自重で変形していったのかとも思いました。
しかし鉢の面積に対して円筒形の面積がとても少なく、
一本足のような不安定な状態で焼くのかという疑問が残りました。
それとも他作品の蕪や壷の口に乗せて焼いたのでしょうか。
しかし強烈な変形ですが偶然の出来事による歪みではない、
制作者が意図して変形させていると感じました。
勉強不足で完璧な説明はとても難しいのですが、
鉢の縁は大きく歪んで外に開いてしまっているのかと思いきや、
しっかりと底部に対して垂直を保っていました。
掌の形に合わせて人間工学デザインを突き詰めた織部茶碗や備前茶碗「只今」のように
使用する人間を見て意図して変形したものであるような気がします。
なだらかに盛り上がっているからこそ盛り付けに立体感が出るのでしょうか。
この疑問を宿題にまた近々もう一度県立博物館へと行って見たいと思います。
(すべて浅学なる個人の感想ですので色々とご容赦下さい)