皆さんこんにちは、如何お過ごしでしょうか。
今日は先日窯出しのあった伊勢崎晃一朗先生の新作酒呑をご紹介致します。
引っ掻き高台とでも言うべき、三叉になった特徴的な意匠が今回の目玉となっています。
この特徴的な意匠と照らしあわせて、晃一朗先生の魅力に迫りたいと思います。
まず、この特徴的な引っ掻き三叉ですが、制作方法がとてもユニークです。
この酒呑自体が手捻りで制作されており、準備段階では粘土が板状になっています。
その状態のまま、三本の線を引っ掻いて刻み込みます。
丁度三叉で引っ掻いたように粘土の板に線が三つ記憶されます。
その上で板状の粘土を膨らませるように立ち上げていき、最終的にこの酒呑の形となります。
その膨らませる作業の際に、前述の刻み込まれた三叉の引っ掻き線が広がり、
引っ掻き部分とそうでない部分で高低差が発生し、脚のようになって引っ掻き高台になります。
その際に土自体には触れることなく、土の性質に沿って変形していく為、
人為的には出すことの出来ない自然体の表情が表現できます。
これが今回のタイトルである「土の貌 つちのかたち」と表現させて頂いたものであり、
伊勢崎晃一朗先生の作品の魅力の一つではないかと思います。
時にナイフでカットしたり、土錬機を改造して作った土柱を打ち付けて作品にしたりと、
箆で刳り貫いたり、引き千切って土を限界まで伸ばす等その表現方法は違えど、
様々なアプローチで粘土の中に眠っている土の貌を探ることで、
晃一朗先生は備前の粘土という魔法の素材と向き合っていると感じました。
黒赤白と色合いの変化でも表情の違いが生まれます。
腰回りから上は手捏ねによって整った表情になっています。
引っ掻き高台は土のもつ隠された性質、本来の貌をそのまま見せてくれます。
見込みもまた前述の二つの部位とは違う表情になっています。
土の粗さと箆による整えが拮抗しています。
(伊勢崎晃一朗/酒呑各種)
左 黒酒呑 size:径8.0cm×径7.8cm×高さ6.5cm price:売約済
中 備前酒呑 size:径7.8cm×径7.7cm×高さ6.5cm price:売約済
右 白酒呑 size:径8.3cm×径8.0cm×高さ5.7cm price:売約済
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