皆さんこんにちは、如何お過ごしでしょうか。
台風11号が岡山に接近し大変な大雨となりました。
山陽自動車道も一部通行止めとなり、店の前の二号線は延々と渋滞していました。
皆様もくれぐれもお気を付け下さいませ。
さて、今回は森本良信先生の収集した陶片を拝見させて頂きました。
古備前を愛する森本良信先生らしいユニークな陶片ばかりです。
破片であっても現代の備前焼とは違った面が多々あり、
土も焼き方も違うのでとても硬質な雰囲気があります。
是非古備前を手に取る機会がありましたら「硬さ」にも注目してみてください。
①須恵器と備前焼のハーフ
大甕等の口縁部分の破片です。
これは水に濡らした状態なのですが、本体部分は須恵器の色である青白い灰色です。
しかし口縁部分に乗った胡麻が淡黄色となっており、焼成の変化の兆しが見えます。
須恵器と備前焼の中間地点にあるようなとても珍しい陶片です。
②鎌倉から室町期の大型の作品の底部
ここから一気に備前焼らしい紫蘇色の肌と黄胡麻になりました。
焼成方法が変わり備前焼の黄金期が始まります。
泥だらけで煤けたような状態から水に濡らすと一気に鮮やかになり、
備前焼の生命力に驚かされました。
細かな飛び胡麻は古備前特有の味わいがあります。
こちらも上の陶片と同じ窯跡から採集しており、時代的にはとても近いそうです。
③室町中期から後期の擂鉢
上記の二つの陶片とは採集場所を変えて、伊部のある場所にて許可を得て採集したそうです。
細すぎず太すぎず調度良い大きさと広がりの口縁部が室町中期から後期の特徴です。
これより時代が早ければ口縁部分は薄く、後の時代であれば大きく派手な縁となることが多いようです。
これも濡らすとネットリとした素晴らしい土味となりました。
吸水性がよく外側を撮影している時には既に乾き始めていました。
④謎の破片、窯の一部と融着している
今回見せて頂いた陶片の中でも最も印象深かったものです。
どうでしょう、森本良信先生の作品にとても良く似ていませんか。
たっぷり胡麻が掛かった部分と飛び胡麻で緩急のある景色、
その間から見え隠れする黒みがかった肌など、とても魅力的な景色を持っています。
この白い胡麻も古備前特有のものであり、伊部駅前の陶芸美術館の大甕や、
ある先生がお持ちの室町時代の大甕にもとても良く似た白い胡麻が出ていたのを思い出しました。
森本良信先生もこの白い胡麻の出し方については分析中で、
燃料の木の種類によるものかも知れないと仰られていました。
さて、森本良信先生の陶片コレクション、如何でしたでしょうか。
陶片の一つ一つに沢山の泥が付着しており、轆轤の傍ら眺めていたことが伺えます。
物言わぬ陶片であっても同じ陶工ならば、時代を超越しての対話が可能なのでしょうか。
私もいつか名も無き陶工と語り合えるように努力したいです。