皆さんこんにちは、この企画展も第七弾ということで、今回で最後のペアとなります。
様々な作品が出揃った本企画展の最後を飾っていただくのは、安倍安人先生と末田恵先生のペアです。
安倍一門といえばその特徴的な胡麻ですので今回は胡麻にクローズアップしたいと思います。
安人先生の徳利は彩色備前、末田先生の酒器は伊部手となっております。
末田先生の作品はとても細やかさや、丁寧さがあります。
むしろどこか磁器にも近しい、清潔感や滑らかさがあります。
また、安人先生の徳利もご覧のとおりの豪華絢爛さですが、実物は意外に派手すぎず上品にまとまっています。
いつも思うのは日本画などで用いられる金の色彩のように、金であって輝いてはいるが「渋い」という感想です。
もちろん赤や青などにも目がいきますが、あくまで胡麻が主役であり金は名脇役に徹しているように思います。
そこで末田先生の作品を見返してみると、やはり胡麻が景色の主役であり、黒い伊部手の肌はあくまで脇役であります。
しかし共通項として胡麻が主役となっておりますが、お二人の胡麻は大分違ったものとなっています。
安人先生の胡麻はあくまでも濃厚で、部位ごとに濃さや色合いが違い、油絵のごとくやや隆起しています。
末田先生の胡麻はどちらかと言うと胡麻と器肌に高低差はなく、胡麻自体もサラサラとした液体のようなイメージです。
安人先生の胡麻が油絵であるなら、丁度伊部のきめ細かな肌と合わせて水彩画のようにイメージしております。
改めて胡麻だけを比較してみてもかなりの違いがあり、驚いております。
お二人とも印象は違えど胡麻をメインに据えて、絵画のように緻密に構成されております。
まるで陶のキャンバスに炎でペイントしていくようですね。
そこに立体としての面白さも加わってくるのでしょうか。
記事を書き終えて、安人先生の「焼物なんだから焼かないと」という言葉が脳裏に蘇ります。
さて、今回で縁展も最終出展となりますが、如何だったでしょうか。
コンセプトとして「見比べて新たな発見を」として企画しましたが、皆様に新鮮な驚きをお届けできたでしょうか。
窯を作って作品を詰める時に、窯焚きごとに作家さんはちょっとずつ位置や作品の土を入れ替えるなどするらしいです。
微妙に変えていくことでその窯の性質や、使用する土のポテンシャルを浮き彫りにするようです。
ファンとしても作品を年代ごとや、それぞれの関係性で見比べてみて、
その時その時の作家さんの心の動きを追って見るのも面白いかも知れませんね。
それでは新春企画展お付き合いいただき誠にありがとうございました!
作品情報:安倍安人 彩色備前瓢徳利(共箱) サイズ口縁2.9cm×胴径9.8cm×8.8cm×高さ15.0cm SOLDOUT
:末田 恵 伊部酒呑(共箱) サイズ径6.8cm×6.6cm×高さ5.8cm 価格1万8千9百円 SOLDOUT
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