皆さんこんにちは。如何お過ごしでしょうか。
ちょうど紅葉が綺麗なこの時期は、行楽の秋ということで備前にも沢山の方がお越し下さっています。
閑谷学校の楷の木の紅葉を見られた帰りに当店に寄ってくださったお客様が、
「本当に綺麗で幻想的だった。楷の木の紅葉の見頃と時期がピッタリ合って本当に良かった。」
と言っておられ、なんだか我が身のように嬉しく思いました。
しかし何故に紅葉はこんなにも人の心を揺さぶるのでしょうか。
遥か昔より俳句や和歌などでも数えきれないほど紅葉の歌は詠まれてきました。
ただの葉っぱが赤く染まる現象に、大昔から数えて何千億という人間が見事に魅了され、
その気持の昂りは俳句に和歌に始まり絵画や陶芸などあらゆる物質に昇華し表現されてきました。
まるでさも様々な文化や感動のゼロ位置、ある種のパトスの起源でもあるかのようです。
そこで今日は現代緋襷の起源とも言える、金重素山先生の緋襷の茶碗をご紹介したいと思います。
皆さんご存じの方もいらっしゃると思いますが、
素山先生は近代の備前の巨匠にして電気窯焼成の緋襷の父ともいえます。
若くして兄の陶陽先生についてそのお仕事のお手伝いをされていました。
その後京都にて釉薬を使った陶器の研究をされており、その時に電気窯を使っておられたようです。
それから後、岡山に帰られた素山先生は電気窯を使った美しい緋襷の焼成を研究されます。
今でこそポピュラーな緋襷ですが、完成した当初は批判的な意見も多少あったようです。
その批判すらも素山先生はしてやったりと笑ってバネにして、
さらに茶陶に酒器にと素山先生の緋襷が絡みつき燃え上がっていきました。
そうして思えば紅葉も冬を前にした厳しい冷え込みによって引き起こされるものですが、
大きな障害に立ち向かう姿こそ、命を燃やすようでいてとても尊く映るのかも知れません。
感動という感情を一つ奥へと踏み込めば、雄大なる人の営みや命の強さを垣間見ることが出来ます。
命という大地にに小さな種が落ち、困難という風雨に吹かれて育ち、芸術の枝葉が美しく紅葉する。
素山先生のこの作品にも己の信じた道をいく立ち向かっていく力強さと、
心血を注いだ緋襷のまるで紅葉のような優しい緋色が上手く重なりあっていますね。
size:幅13.2cm×13.0cm×高さ8.6cm
price:470,000円
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