皆さんこんにちは、いかがお過ごしでしょうか。
暖かくなってきたこともあり、三連休では沢山のお客様にご来店頂くことが出来ました。
足をお運び下さり誠に有難うございました。
さて、お店の方もひと段落となりましたので、
お客様のコレクションの中から特別にお借りした、一風変わった珍品をご紹介していきたいと思います。
本日の第一弾は島村 光先生の「おくれてきたねこ」です。
島村先生といえば第74回山陽新聞社賞を受賞されたことが記憶に新しいですが、
その他にも沢山の賞を受賞された、細工物一筋の大ベテラン作家です。
先日の山陽新聞社賞受賞の際のインタビューでも、
「技術だけではなく先人たちの心を伝えたい」とご回答されていたように、
脈々と受け継がれてきた備前の伝統の中身を大変大事にされておられる方です。
そして伝統を大事にするからこそ自分らしい表現で新たな細工物の道を切り拓いておられます。
今回の「おくれてきたねこ」に代表される洒脱で瑞々しいモチーフが島村先生の持ち味ではないでしょうか。
「おくれてきたねこ」というのは十二支の話から着想を得ており、
ねこは十二支を決める日取りを一日遅くねずみに教えられた為、
十二支はおらず今でもねずみを追いかけているというお話が有名ですね。
今回の作品でもねこの少し間抜けなポーズが何とも愛嬌があり、
見ていて遅れてしまった事を残念がっているのかな、と感じます。
また、見方を変えてみれば偉大な先人たちを十二支として、
島村先生ご自身がおくれてきたねことして自分らしさのある細工をする、
そして次の世代へとバトンを繋いでいく、といった気持ちではと考えてしまいます。
備前細工物の王道である十二支への島村先生流のユニークなアンサーではないでしょうか。
転げたような伸びをしているような何ともユニークなポーズです。
肉球やしっぽの太さなど簡素で分かりやすく、しかし精密さのある見事な作りです。
やや前作で胡麻緋襷の穴窯焼成となっています。
参考出品 size:径14.0cm×径13.6cm×高さ4.3cm