皆さんこんにちは、如何お過ごしでしょうか。
本日は久しぶりの新作入荷となりました多久周作先生の酒呑をご紹介させて頂きます。
今回は新作ですが父である多久 守先生の窯で共同焼成したものです。
建部町にある多久 守先生の窯では、共同で焼成する際にも厳しいルールがあり、
今後の発展に寄与する物のみを選定して窯に入れられたそうです。
いつもながらにお二人の作陶に対する真面目さと甘えの無さに驚かされました。
さて、そのような条件下で周作先生に選ばれた優品を頂くこととなり、
一目見て前回の作陶展からの一年間、大変な修練を積み重ねられたのだと感じました。
大変なハンディのある中での作陶となりながらも造形は前回よりもさらに密度を増しており、
むしろ以前よりも感覚や技術が研ぎ澄まされていったのではないかと思いました。
また、緋襷というテーマを決めて取り組まれた焼成も大成功され、
今回のブログタイトル通りの見事な緋襷の華が満開となっています。
今回のテーマとはズバリ、「土→周作→人」の周作の癖や匂いや痕跡を消して、
ダイレクトに「土→人」を楽しんでもらえるように緋襷を昇華させることだそうです。
備前の花形である胡麻や灰が掛からず、言葉通りに誤魔化しの効かない緋襷を、
更に自分の手を経て加えられる装飾や作為すらも取り払うという冒険を今回されたそうです。
その努力が結実し、今回の緋襷はどれもが見事な上がりになっています。
清潔感のある美しい砂浜のような白地のもの、
真っ赤に冴えて浮かび上がってくるように見える緋襷のもの、
古備前調の塗り土の肌に渋い緋襷が掛かり大地の香りが漂ってきそうなもの。
数カ月前にお会いした際に、周作先生は一言「緋襷を頑張りたい」と仰られていましたが、
どの作品を見ても見事に至りやり遂げたのだと確信する出来栄えです。
勉強熱心で真面目な周作先生の今後の更なる発展が楽しみとなって参ります。
左は見事に冴えた緋襷が出ており、浮かび上がるかのようです。
右のものは塗り土を施しており、古備前調の土肌となっています。
紐作りでゆっくりと立ち上げられており、独特のバランスが心地よいです。
周作先生の真面目さや熱意が高台には大変良い影響を与えています。
よく作りこまれていながら動きを失わず、まさに職人らしさのある洗練された高台です。
(多久周作/備前緋襷酒呑 共箱製作中)
写真左 size:径7.1cm×径7.0cm×高さ4.6cm price: 売約済
写真右 size:径7.0cm×径6.8cm×高さ5.3cm price: 売約済