皆さんこんにちは、如何お過ごしでしょうか。
夏真っ盛りということでジリジリと照りつける暑い日が続いております。
こんな時にはさっと水にくぐらせて水気を帯びた備前の皿に、
マスカットやピオーネや白桃を盛り付けて食べたいものですね。
さて本日は今夏窯出しをされました金重有邦先生の新作から、
金重有邦先生の持つ二つの面を見ることが出来る徳利二点をご紹介させて頂きます。
金重一門に生まれながらも、独特の土の表現にこだわり続ける有邦先生ですが、
ちょうど今回の徳利二点は対照的ながらも、どちらもが金重有邦先生を象徴するような作品です。
両方共に今夏窯出しの最新作です。
向かって右はまさに金重一門らしい味わい深い緋色と渋いカセ胡麻が出た作品です。
それに対して左は剥き出しのの土肌に最小限度の胡麻のみという構成で、
こうして並べてみることで非常に対照的な作品であることが窺えます。
自らが惚れ込んだ備前土、一族の宿命とも言うべき土への執念が根底にありながら、
対極のような表現となった二本の徳利ですが、どちらにも共通するのは「究極の質感」です。
こればかりは実物を手にとってご覧頂き、掌の皮膚にてお召し上がり頂くしかお伝えする手段がなく、
またこの質感を捉えられる言葉を持たないため、今回ブログはこのようなタイトルとなりました。
ただ一言残すとするならば「是非実物を手にとってご覧下さい」のみです。
現在、川口陶楽苑にて展示中ですので、お近くまでお越しの際には是非一撫でしてみて下さい。
焼き物として見た目や形も大事なのですが、やはり人間に直に触れられて使われる物として、
感触や肌合いは所有する喜びの中でも大変重要なファクターとなります。
掌の中にその物が存在するだけで至上の喜びが生まれることもあります。
お酒などの品評で「米を磨く」という言葉をよく耳に致しますが、
まさに本作に使用された土は磨き抜かれた珠玉の土であり、
美味いお酒、美味い料理、美味いお茶と同じく喜びを運んでくるものであります。
備前徳利①
こちらは一目で金重一門と分かる細かなカセ胡麻が出ています。
良い意味で粉っぽいとすら感じるほど、肌に付着したカセの粒子が細かく濃密です。
そこへ柔らかな質感の土味が重なり、二つの心地良い質感を掌で「食べ比べ」することが出来ます。
とても軽く枝垂れ柳のような憂いのある立ち姿は風流人である金重有邦先生らしいです。
備前徳利②
こちらは金重有邦先生の一押し作品で、金重一門ではなく言うなればゆうほう好みの一振りです。
もう一方の徳利は陶芸の妙味である微妙な歪みが入り、それが侘び寂びに通じていますが、
本作は左右対称のまるで白磁の瓶子のようなフォルムとなっています。
左右対称というと堅くなりがちですが、そこへ最高の質感が加味されることで、
古備前でもない、新作でもない、ゆうほうワールド全開の魅力溢れる徳利へと昇華されています。
普通の轆轤引きではこのようにはならないので、優雅な立ち姿とは正反対のものすごい手間が掛かっています。
(金重有邦/新作備前徳利各種)
備前徳利① size:径7.9cm×径7.8cm×高さ13.2cm price: 売約済
備前徳利② size:径9.4cm×径9.4cm×高さ13.3cm price: 売約済
作品の詳細な画像などは下記までお問い合わせ下さい。
Tel 0869-67-2210 Fax 0869-67-2220
川口陶楽苑へのメール(クリックするとメール送信画面になります)