皆さんこんにちは、如何お過ごしでしょうか。
本日は当店イチ押しの作家の一人である高力芳照先生の変わり種の作品をご紹介します。
本作は今までの作品には無かった「黒徳利・黒酒呑」と銘打たれており、
浴びせ掛けるような大量の胡麻に黒い土味が合わさった特殊な作品です。
徳利の方は古備前の大甕の上に置かれた大皿の裏などに見られる、
喩えるならば絵の具、べったりとしていてよく溶けた液状の胡麻が出ています。
酒呑の方も徳利に負けず劣らず非常に存在感のあるものとなっており、
見込みには胡麻を集めて透明化させた、黒曜石のような景色が広がっています。
瀟洒な作品を嫌い、野暮さや外連味の無さが心地よい温かみを生む高力作品にあっては、
なかなかに異質な「華」と「飾りっ気」がある作品群となっています。
実は本作は珍しく二度焼きをして焼き上げられた作品で、
それ故に粘土中の鉄分を吸い出したかのような黒の肌が発生しているとの事です。
徳利の正面、酒呑の見込み、これらの熱量を推察してみれば、
確かに一度の窯焚きでは物足りない気がしてきます。
徳利のべったりとしていて絵の具のような胡麻が、肌の凹凸や石に合わせて蛇行する様子や、
人の身にあっては立ち入られぬ1000度をゆうに超える窯の内部にて、
飛び交う胡麻を集めて盃で掬い取ったような見込みの神秘的な景色等、
窯焚きの荒行のような側面、炎の神秘性を強く想起させる作品になっています。
新しい窯を出す度に研究を重ねて精進を続ける高力先生らしい意欲作と言えますね。
真正面には浴びせ掛けるような胡麻の嵐があり、一目で高力作品の中でも異質な作品と感じます。
裏は溶けたチョコレートのような色合いの土味と黒が交じり合っています。
絵の具のように濃い黄胡麻が、ところどころでは透明な黒い胡麻となって楽しませます。
揺らめく炎のような黄胡麻に濃厚なチョコレートの味わいはまるで古備前です。
胡麻の中心には黒曜石のような結晶が現れて、盃の形状と合わせてまるで日蝕のような景色となっています。
裏面は炎の流れに合わせてチョコレートと黒が切り替わっています。
触ると溶けてしまいそうな味わいがあります。
(高力芳照/黒酒器各種)
黒徳利 size:径9.4cm×径9.3cm×高さ12.9cm price: 売約済
黒酒呑 size:径8.4cm×径8.1cm×高さ4.4cm price: 売約済
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