皆さんこんにちは、いかがお過ごしでしょうか。
大変暑い日が続いておりますので、体調管理にはくれぐれもお気をつけ下さい。
酒器や食器などもカビやすい時期ですので、しっかりと乾燥させてから元の場所へ戻して下さい。
さて、本日はとても懐かしい作品と出会いましたので、皆さんにご紹介させて頂きます。
皆さんは正宗 杜康先生という備前焼作家をご存知でしょうか。
亡くなる直前に杜康に改名されたので、正宗 悟先生のほうがご存知の方が多いかも知れません。
私が正宗先生と初めてお会いしたのは、2004年頃だったかと思います。
備前焼の道に入りたてで何も知らない私に、正宗先生は色々な事を教えて下さいました。
当時、正宗先生は体調が思わしくない日もありながらも、常に備前土や古陶磁の研究に勤しんでおられました。
当店からお買い上げ頂いた粉引作品に触発され、粉引作品のパイロット版として茶碗を少量焼き上げられた頃が、
私が正宗先生のお元気な姿を見た最後だったのではないかと記憶しております。
その時焼き上げられた粉引作品は、李朝を彷彿とさせる枯れた薄い白化粧が素晴らしく、
白釉が厚手に掛かった作品しか知らなかった私にとって、それはもう大変なカルチャーショックでした。
そして粉引作品と並んで正宗先生が亡くなる直前までよく焼造されていたのが黒備前作品です。
当時、伊部で宅地開発がされており、掘り出されたされた珍しい粘土が偶然手に入ったようで、
試し焼きした黒備前作品を片手にとても嬉しそうに粘土について語っておられました。
黒備前用の原土は一目でヒヨセとは違うとわかる強烈な黄土色をしており、
その土に惚れ込んだ正宗先生が、轆轤場の土置き場に大量に積み置きしていたのを覚えています。
この土は特殊な性質を持っており、焼成時の自然釉に反応して鉄釉のように黒くなります。
その他の部分は柿釉のような茶褐色の肌を形成し、塗り土による黒とはまた違った存在感がありました。
いつか機会があればご紹介したいと思っており、念願叶って手に入れられましたので記事にさせて頂きました。
自然釉が大量に付着した場所では、まるで墨汁を吹き付けたように黒い窯変が滲み出しています。
この土は含有する鉄分が非常に多く、自然釉と混じり合ってこのような黒い窯変になります。
造形も通常の備前手とは打って変わって、まるで光悦茶碗のような趣があります。
驚くほどに作品のレパートリーが豊富で、作品ごとにまるで違った表情があり、
今更ながらに正宗先生の深い見識と、頭の中の作品を再現し具現化する技術に本当に驚かされます。
本当に焼き物一筋の人生で、焼き物を愛し焼き物に全てを捧げた方でした。
正宗杜康/備前窯変黒酒呑 共箱 price: 売約済
size:径8.1cm×7.8cm×高さ6.0cm
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