つくる陶磁郎を見て

 皆さん、こんにちは。春の清々しい日々にいかがお過ごしでしょうか。
こちらの方の桜はもう随分散ってしまって、緑の葉っぱが多く見られるようになってきました。
あの桜のほんわかとしたピンク色は本当に素晴らしいですね。
あのごつごつした幹から、ピンク色の優しい色合いを精製してるんだと思うと不思議でなりません。

 さて、そんなピンク色ですが「つくる陶磁郎vol.38」を見ていて素晴らしい色合いを見つけました。
この「つくる陶磁郎」では陶芸家の方々が丁寧に作品の作り方を解説されているのですが、
38号巻頭では原憲司先生が志野、黄瀬戸、瀬戸黒の茶碗の作り方を解説されています。
その中の志野の項なのですが、原土の色合いが素晴らしいピンク色でした。
まるで桜餅のように淡いピンクの色合いは、食べられるんじゃないかと錯覚しそうになりました。
写真を見ているだけで、花の優しい匂いがしてきそうなほど素晴らしい色合いです。

 備前の原土は何度も見ていますが、焼成後は固く焼きしまり色合いもまったく変わります。
しかし志野はこのピンクの色合いが、どことなく焼成後の色合いを連想させてくれます。
写真の中では「非常に扱いが難しい」とあり、轆轤挽き中にモサッとひび割れたりしています。
そのひび割れやヘラ削りの縮緬皺も、もっちりとした土の感じが伝わってきて何とも言えません。
きっと実物の土を触らせて頂いたなら、またイメージは変化するのでしょうが。

 そんなこんなで最近は陶芸=餅のイメージがふつふつと沸いてきますね。
備前は煎餅、志野は桜餅、瀬戸黒はおはぎと感じています。
そのどれもに熱く渋い緑茶が合うのですが、陶芸にも緑の自然が良く似合いますね。
小さな徳利に野花を一輪活けても良いですし、苔むす岩の上に茶碗を置いてもかっこいいなと思います。
とこんな事を考えながら、ぼーっと春の暖かな日差しを楽しんでいました。

[ つくる陶磁郎を見て ]雑記2009/04/20 15:21