友利幸夫先生の作品といえば、ダイナミックで大らか、
豪快でユニーク、といった印象があります。
そして焼成は土からじんわりと滲み出てきたような緋色や、
勢いのある焦げや荒々しいカセなどが特徴的です。
窯焚きは約
10 日間。
5
分と目が離せない環境の中で、長い窯焚きを無事に終え、
新作が発表されました。
友利先生の形は、土がロクロの上で踊り出し、
その一瞬を切り取ったとでも言えるかのように、
躍動感に溢れた面白い動きを見せています。
裏面はどうなっているのだろう?
底はどうなっているのだろう?と
手に取ってその形を確かめずにはいられません。
作品が生み出される様々な工程の中で、
「つくる」時が一番楽しいという友利先生。
『つくる時の一瞬の表情、姿を逃したくない。
焼き物はなまもの。
焼いて初めて固まってしまう。
その時の感情や想いが形に残る。
つくる時も出合い。』
きっと何百年と受け継がれてきた陶という歴史そのものを動かす原動力となった、
「つくることの楽しさ」を誰よりも身近に表現できているのではないでしょうか。
友利先生の道標も思想も感情も、
全てこの造形が代弁してくれるでしょう。
器が今にも踊り出しそうな、自由で楽しい作品たちは
「難しく考えなくてもいいじゃない」と
肩肘張った己を諌めてくれるかのようです。