後悔後先焼かず。

昔のバンドメンバーだったS君から、「灰皿作って」との依頼を受け完成したものです。
僕はロクロなんて習っていないし、見様見真似と勘で制作しました。
作家の先生やうちの陶工さんを見ていると、土が自ら変化するようで本当に楽しそうです。
しかし実際にしてみると、土に拒否され悪戦苦闘しました。
悪戦苦闘と書きましたが、実際は完全に僕の負けです。
土の固まりがグルグル回るだけで、上へと動きません。
まぁどうにか挽き上がった物を焼かせて頂いたんですが、
いざ依頼者のS君に渡そうかな?なんて考えていると、
あるドキュメンタリー番組で、マタギの方を取材しており愕然としました。

「我々は殺した熊の命を無駄にしちゃいけない。山の神からの恩恵なんだから。」

本当に自分が情けなくなり、未だ焼いてしまったこの「物」を渡せずにいます。
消費社会の片隅には無数の命が投げ捨てられ、貴重な資源が破壊されている。
というメッセージをマタギの方の言葉からひしひしと感じました。
僕はこの土を使って何がしたかったのかも分からず、
適当に作って焼いてしまってたんだと後悔し、今ブログに書かせて頂いております。
僕の好きなマンガの言葉に「義の無き信念は無に等しい」とありますが、
「心無き作陶は無に等しい」のではないかと思います。
もう焼いてしまった以上土には戻りませんが、これからは心を込めて
人が喜ぶような物を作らないと駄目だと感じました。
ついつい辛気臭くなってしまいましたが、
皆さんも作る時にはたくさん楽しんで、思い出に残るものを作って下さい。
土と触れ合うと何だか色々考えさせられます。
冒頭に書いた「本当に楽しそう」というのは、もしかするとこの事かも知れません。

[ 後悔後先焼かず。 ]雑記2006/09/11 02:18