皆さんこんにちは、いかがお過ごしでしょうか。
本当にいろんな事がありましたが、今年ももうあと僅かですね。
この所強烈な寒波に見舞われておりますので、感染症対策及び体調管理にはくれぐれもお気を付け下さい。
さて、本日は一風変わった作品をご紹介したいと思います
備前焼の作家さんが普段使っている酒器とはどういったものなのか気になりませんか?
ご自分の作品、親族の作品、友人の陶芸家の作品、ギャラリーで購入した作品、
色々とあると思いますが、こだわりの強い作家ならではのチョイスがきっとあるはず。
という事で今回は酒豪でも知られる金重 愫先生の暫時愛用の酒呑を見せて頂きました。
まずは備前手の酒呑からのご紹介ですが如何でしょうか。
金重 愫先生はご自分の酒呑、もしくは金重素山先生の酒呑をよく使っておられるそうです。
この作品、皆さんの中の金重 愫先生のイメージと随分かけ離れているのではないでしょうか。
サイズ的にも幅が約6センチ、高さが約5.5センチと大分小型です。
轆轤挽きも普段の金重 愫先生のスピード感のあるシャープな造形というよりも、
土と戯れるのが楽しくてしょうがない、といった雰囲気が伝わってきます。
奇遇にも金重 愫先生も敬愛する川喜田半泥子先生のような趣きがありますね。
何でもこの酒呑に使われた土は金重素山先生の存命時に、
金重 愫先生が仕込んだ40年物の特上の備前土だそうです。
「個展等ではよく灰被り窯変を求められるけど、本当に良い土には灰は余計に感じてしまう」
と仰られていたのがとても印象的でした。
さて次は金重 愫先生愛用の粉引の酒呑のご紹介となります。
前々回の窯出しの折に施釉陶の新作を出しておられましたが、
その時に出た粉引の酒呑をずっと使いながら育てておられたそうです。
貫入の出方が特に気に入られたようで、備前とはまた違った楽しみがあると仰られていました。
ちなみに金重多門先生はご自宅でお酒を楽しまれる際には金重素山先生の作品をよく使われるそうです。
特に施釉陶の「お売りできない」作品がお気に入りだとか。
作品を通じて金重素山先生のその時々の思考や感情を辿るのが楽しいとの事です。
陶芸家暫時愛用の酒呑は如何だったでしょうか。
また機会があれば酒呑に限らず暫時愛用の作品を見せていただこうと計画中です。
それでは皆さんも愛用の作品とともにどうか良いお年をお迎え下さい。
本年も大変お世話になりました。
来年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。