金重陶陽の作品など備前焼の人間国宝の名品を一堂に展示しています。



 

 

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金重陶陽  彩色備前羊香合  共箱

 

若き頃より細工物の名人と呼ばれた金重陶陽先生の非常に珍しい彩色備前羊香合です。
美術館や図録等でしかほとんど目にすることがなく、市場に出ること自体が極々稀なことです。。
岡山県立美術館による生誕100年記念展によると1930年(昭和5年)頃に制作されたものだそうです。
彩色備前自体非常に制作数が少なく、極々少数が注文品として作られたとも言われています。
低温で素焼きをした作品に岩絵の具で彩色を施して完成させますが、
その制作方法故に本来の備前焼よりも脆く、また油や塵や埃などで劣化しやすい性質があります。
1930年(昭和5年)頃の制作品であれば実に86年もの時を経ているという事になります。
それだけの長い年月の中で彩色作品でありながらも破損や極端な劣化などもなく、
現在でも羊の美しく清涼感のある白の彩色をその身に宿しております。
美術工芸品としてのクォリティの高さと共に歴史的な資料としての価値も持ち合わせています。
100年近くその美しさや価値を保ったまま生き永らえるというのは容易いことではございません。
最新の電子機器は5年10年、どこまでも走って行けそうな輝く車が50年、
どんな風雨にも負けない堅牢な住宅がやっと100年ではないでしょうか。
備前焼がそれらよりも堅牢にして丈夫であったという事ではなく、
それらよりも愛されるもの、慈しまれ愛でられるものであったということでしょう。
90年近くという時の重みにも増して、本作を今現在まで守りぬいた愛陶家の方々の強い想いを感じます。


 

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