あとがき
黒
大概の黒いものと言えば大抵は無機質である。
この画面もそうであるし、
デスクの黒い金具の部分や、インクジェットの黒もそうである。
時計の文字盤、車のタイヤも黒い。
有機的な黒よりはるかに無機的な黒が多い。
そう、自然界には完全な黒はあまり存在していない。
あるとすれば闇が関連するものだろう。
光を吸い込むための闇を備えた瞳。
光が遮られ生れる影。
底が見えぬ夜の海。
なにより恐ろしいのは詐欺師の黒い腹であるが。
そうした中で彼の黒は不思議な黒だ。
有機的であるが、闇が関連していない。
むしろ輝いているようである。
黒い光は特殊な装置でしか生み出せないが、
そういった類の黒い光でもない。
有機的な温もりがある黒だ。
どこかで見た気がする。
そろそろ日付が変わろうとする今、
ふと窓を開けて夜空をみた。
そこには彼の黒と同じ黒があった。
All word and photo by katsuya kawaguchi
Special thanks to Kazuhiro mori ,His family,staff of Samukaze oogama,and You!!!