あとがき
ゴルゴタの丘
ゴルゴタの丘とは、キリストが処刑された場所である。
処刑というと聞こえは悪いかも知れないが、奇跡の丘として有名である。
キリストはこのゴルゴタの丘での出来事から、三日後奇跡の復活を遂げた。
備前もまたそのような奇跡が存在する。
期間は三日とは言わないが、今でも信仰のように語り継がれている。
それは伝説の如く。
金重陶陽。
明治頃から衰退を始めた備前焼は、金重陶陽の尽力により再興した。
備前のどの業者でも必ず知っている逸話である。
一度完全に死に絶え、奇跡の復活を遂げる。
まさにゴルゴタの丘の逸話と似ている。
だがそれは同時に巨大な問いとなる。
命を掛けた奇跡に、己はどのように相対するべきなのか。
その問いもまた、己の本性に差し迫るゴルゴタの丘ではないだろうか?
その問いに真っ向から向かわねばならぬ男がいる。
その男はただ挑み続けている。
たった一つの命で。
宿命とは漠然としていて巨大なものである。
宿命が己を指名したならば、逃げる事能ず。
彼が宿命と散らした火花が、今我々の手元にあるのだ。
未だまだまだ温もりは消えずに。
彼がゴルゴタの丘を越え、また新たな奇跡の丘を作らん事を願う。
All word and photo by katsuya kawaguchi
Special thanks to Kousuke kanesige,His family,All staff,and You!!!