人間国宝無形文化財等、備前焼の有名作家による個性溢れる作品を一堂に展示しています。



 

 

あとがき

 

美しい月


今回の新作展の準備をしながら、この文章を書き始めた時、

ふと夜の空を見上げる機会がありました。

その時は、透き通るような黒の空を、煌々と月が照らしており、

雲の流れや、冬の始まりを知らせる寒さ、風が頬を撫でる感覚等、

自分自身を取り巻く大きな流れ自体を、明瞭に照らし出されたかのようでした。

ふと、末田先生の作品に目を戻してみると、ごあいさつで申し上げた、

独特にして、奇妙でいて、心地良い、

「品格」の正体が分かったように思います。

月が真ん丸で満ち足りていて、うっすらとした輝きは

どこまでも心地良く、心に溶け込んでくるものなのです。

これ以上でも、これ以下でもなく、

足す事も、引く事も不要であり、

完全に満ちている美しい月なのです。

それ故に、何かに頼る事も無く、

独立した個性を持ち、存在している

不思議でいて魅力的な「品格」が作品から漂うのでしょう。

まるで美しい月のように、ただ一つ、

孤独な夜空で輝いているかのように。

 

 

 

   


All word by katsuya kawaguchi,all photo by rie mori
Special thanks to Megumi Sueda and You!!!

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