いつも川口陶楽苑をお引立て頂き、誠に有難うございます。
この度、川口陶楽苑Online個展と致しまして、
「相賀真志郎 新作展~三平池の陶人の生存証明~」
を開催させて頂くこととな
りました。
今回のテーマとしては名もなき陶工の数カ月の作陶の記録として、
相賀先生のインタビューとともに作品をご観覧頂ければと思っております。
古の陶工の姿を思い起こさせる生活と作陶が密着したスタイルは、
生命そのもののような濃密さを作陶に伝播させるものであります。
今から数百年を経て全てが土に還るように埋もれてしまっても、
土の中に眠っている無数の陶片や焼け爛れたレンガ達が、
この地に居た一人の陶工が命を燃やして作陶していたと雄弁に語ってくれるで しょう。
記録として何かで残さずとも、
この地の土が宿す記憶として永遠に残るのです。
たった一人電気も無い山奥に篭もりながら、
小屋を立て地を掘り窯を築く。
筆舌に尽くし難い労であると想像するに難くありません。
しかしそれを求めてやまない命の炎が彼の心中に燃えていたのでしょう。
そして遂には念願の窯を得て、
暗き山中にて恐ろしい程の熱量を発生させるに
至ったのです。
この恐ろしい程の熱量はどこから出たものでしょうか?
窯を焚き始める時に用いた一番最初のライターの火でしょうか?
新聞紙が、ガスが、そして薪が燃えて発生する炎からでしょうか?
おそらくそれらは全て違うのではないでしょうか。
今からほんの少し昔、
三平池の陶人が未だ幼い頃に見た古備前に宿る炎。
それが種火として幼き陶人に受け継がれるように着火し、
今まさに巨大な炎となったのです。