真志郎、過去を語る
川:今日はよろしくお願いします。
まずは現状の素直な気持ちで、作陶されるまで至ったのか教えてください。相:そうですね、自分はとにかく古陶が好きなので、それを自分なりに消化して表現していくという感じです。
一番最初は親が好きで古い物を見る機会があったんですよ。
で、そこから現代の物を見たときに焼きの違いにびっくりしまして。
何故ここまで違うのかなぁ、と。
川:なるほど。古い物から入って、そこから現代を見た感じですか。
単刀直入に聞きますが、古いものの魅力とは?
相:伝わってくるものがとても濃いですね。
川:インパクトや内包する物が濃いという感じですか?
相:そうですね。で、自分もやってみようと思って。
これが一番最初のきっかけでありコンセプトになりますね。川:なるほど、そこがスタートラインになる訳ですか。
動き出した後はどうでしたか?相:そうですね、とにかくまったく分からない状態からやり始めてますので色々
困りました。
とにかく備前陶芸センターに入所してって感じで。
川:陶芸センターですか。入所してどうでしたか?相:陶芸センターは2年行く訳なんですけど、自分は窯も持ってなかったですし、
こういう場所(センター)でやる事も決まってなかった訳ですから、何もかもすごい不安ではありましたね。
そういった不安を埋めるためにも、古い物を見たりして自分なりに考えて試行錯誤して……。
まぁ、頭の中だけでですけどね。色々見て考えてやってました。
川:なるほど、頭の中でですか。じゃあセンターへ行きながら、こういう事したいなとか浮かんでましたか?
相:はい、そうですね。その時に色んな作家さんのやり方とかを見たりなんかして、、
「自分だったらこういう風にするな」とか考えながらやってましたね。
まぁ、今でもそうなんですけど「あーでもない、こーでもない」と考えあぐねながらやってますね。
川:相当試行錯誤してますね(笑)
相:そうですね。まぁそれで少しづつは頭の中のイメージに近づいてきてるんですが。
まぁ何がどういう風に、と言われると難しいんですけど。
川:近づいてはいるが――というような感じですね。
なるほど、センター卒業後はどうでしたか?
相:えーっとね、そこから陶芸会館(寒風陶芸会館)に勤めましたね。
そこで陶芸教室の指導員をやるようになりました。
でもその時も作るのは作ってたんですよ、窯はなかったけど。
川:そうなんですか。
相:ええ、焼いてはなかったんですけどね。作ってました。
で、勤めながらですけどついつい自分の仕事のことばっかり考えちゃって(笑) 今は職員は退職したんですけどね。
川:ちょっと悶々としてたような感じですかね。
相:そうですね。で、平成15年に築窯しまして独立しました。
川:その当時に思ってた事とかあれば教えてください。
相:一番最初に窯を作ったのが、完全地下式(地中に窯が全て埋没した形式)の窯を作ったんです。
それもレンガを使わずに作ったんで、それが焼いてる時に天井が崩れちゃって。
ちょっと考えが甘かったんですね(笑)
当時は結構落ち込みました。
川:そうですか(笑)
そこからはどういう風に考えてたんですか?
相:その完全地下式の窯を作ったときは、ちょっとでも昔の方法に近づきたかったんですね。
とにかく昔のものをってイメージが頭の中にあったので。
それで少しでも近づければと思って作ったんですけど、そこに拘る必要はないのかなと思いました。
で、次はレンガを用いて新たに窯を作ったんです。
それが今使ってる窯で、現在に至るという感じですね。