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藤原 啓 備前酒杯 紀美子識箱
本作品は焼き成りの良さは言うまでもございませんが、特筆すべきは素敵な余韻に浸ることが出来る素晴らしい造りであります。
見込みに指を当てると吸いつくように指の腹が収まる、大らかでふくよかな胴の膨らみは、絶妙の薄さと相まってまるで包み込まれるかのようです。
高台の端から口縁のてっぺんまでしっかりと精神込めて造られており、非常に鋭い口造りは危うさすら漂わせています。
掌中にすっぽりと収まる手取りの丁度良い塩梅を楽しんでいると、優しいハーモニーが聞こえてきそうな調和のある作行きです。
口縁から見込みにかけて金繕いによる直しがございますが、落とし込まれたまあるい抜けはまるで啓先生の大好きであった片上湾に沈む夕日の如く、酒を注げば劇的な美しさを見せてくれる事でしょう。
径６０７cm×径６．４cm×高さ５．５cm SOLD OUT
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