金重道明などの人気作家の新作を一堂に展示しています。



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伊勢崎晃一朗 黒削水指 共箱

 

備前焼界と漆器界の若き俊英二人がコラボレーションした、黒削水指です。
土の塊から箆で肉を削ぎ落として成形する削り技法により、
歯車を思わせる造形となり、まるで機械部品のようにソリッドな雰囲気をまとっています。

その硬質のオーラは従来の備前水指とは一線を画す独特の形状から発せられるものですが、
細部まで非常に入念に造り込みがなされているからこそ出せるものです。
縦にサクサクと小気味よく入れられた箆、腰回りをぐるりと一筆書きでなぞるような箆。
これらに共通するのは一切の余分な土を残さない非常にスピーディかつ冷たさすら感じる鋭い削りです。
力の入れ具合のブレによる皺、余った土の欠片が作業台を経て再度作品に合流する。
このように削るという「引き算」の中で、様々なケースで「余り」が発生してしまいます。
本作はこの「余り」が出ないように非常に丁寧に成形されており、
それが奏功し、鋭い角、切り立った面、流れるような箆跡を生み出し、ソリッドな全体の雰囲気に繋がっています。

ソリッドな本体に対して高月国光氏の制作された漆器の蓋は木工芸らしい優しい雰囲気に満ちています。
コンクリートの部屋に木の家具が調和するように、非常に良好な関係として二つは存在しています。
作品の角を活かすためにそれぞれの角に対応したデザインとなっており、
本体のソリッドな雰囲気を残したまま漆器の柔らかな作風を合流させています。

また、色調に関しても非常に面白いコラボレーションとなっており、
本体は外が塗り土の黒に対して内側は緋襷による緋色の空間が選択されています。
対する蓋の上部は深く澄んだ色合いの朱塗り、内側は文字通り漆黒の仕上げとなり、
内外の赤と黒がちょうど逆転するように組み合わさっています。
作品二つをただ宛てがっただけのものではなく、パートナーとしての信頼関係があり、
その信頼関係があるからこそ、お互いの作品を引き立て合う真の合作となったのではないでしょうか。

高月国光氏 略歴

1976年 岡山県倉敷市に生まれる
1998年 帝京大学法学部法律学科卒業
2003年 石川県挽物轆轤技術研修所修了
2003年 郷原漆器に木地師として従事
2009年 日本工芸会正会員

 

径19.3cm×18.5cm×高さ14.5cm

SOLD OUT

 

   

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