真志郎、未来を語る
川:先程は大きな目標としての指針を述べて頂きましたが、近い段階での具
体的な構想とかあればお願いします。
相:そうですね、無いこともないんですが……。
ただ自分の中である程度段階を踏んでいきたいんです。
これが出来たから、じゃああれをやってみようかなという感じで。
ただ今はその前段階が出来てないので、まだまだちゃんと考えてないような状況ですね。
川:なるほど、まだまだ先は長いですね。まるでマラソンのようですね。
相:いや、マラソンどころではない果てしなく、そして終わりのないものですよ。
マラソンってゴールがあるじゃないですか。
この道に於いてはゴールは無いですよ。
ただ、その長き道のりが苦しいからこその喜びがあるんだろうなと思います。
良い物が焼ければ凄い充実感がありますね。
苦しみが大きければ大きいほど、喜びもまた大きくなっていくと思います。
川:そうですね。では、これから特集をやる訳ですが見てほしい部分などありますか?
相:具体的に言うとやっぱり他にないものである桟切りですね。
やっぱり自分でもこだわりがあって、特徴のあるものにしたいと思ってますので。
あとはもっと長いスパンで言うと自分の作品はかなりゴツゴツしているので、 もっとシンプルに変化させていきたいなぁ、というのもあります。
それが無心にリンクしているのではないかとも思っていますが……。
川:なるほど、そこで繋がってくるんですね。
相:ええ、インパクトだけではなく、さり気無い美しさが出せればと思います。
例えば胡麻ですけど、全然掛かってなくても良いと思うんですよ。
造形もただ粘土を挽き上げただけのような感じでも。
川:なるほど、その物が良ければそれでいいということですね。
相:ええ、ただそれってとても難しいですよね。
何が良いとか悪いとか決めるのは。
そこはもう自分が納得して決めていくしか無いんでしょうけど。
自分の中から出てくるものが形となって現れるんでしょうし。
だからやっぱり年月を重ねないとね、僕のようなヒヨッコじゃなかなか難しいです。
川:まるで焼物が人生の伴侶のようですね。
相:やっぱり僕にとっては長い人生の中でなくてはならない物ですね。
だから結局個人の趣味としても焼物鑑賞が好きなんですよ。本当にもう焼物オタクっていう感じです。
ちょっと出歩いてみて古備前とか見たりするのが好きですね。
それでも全然飽きないので、本当に奥が深いと思うばかりです。
川:そうですか。焼物を観に行った時などはどんな感じですか?
相:やっぱり一番に感じるのは「どういう人が作ったか」ですね。
古い物でもそうですけど、とにかくどういう人が手掛けたのか想像しますね。
どんな考えを持ってたのか、どんな技術を持っていたのかと考えます。
そこでまた自分だったらこうしたいな、こうするだろうなと考察したりとか。